誰もが嘘をついている | ビッグデータ分析が暴く人間のヤバい本性

読書
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誰もが嘘をついている-ビッグデータ分析が暴く人間のヤバい本性

『データサイエンティストの目標は世の中を理解することだ。半直感的な結果に接したら、さらにデータサイエンスを用いて、どうなっているのかを検証すればいい』

本書は、グーグルの元データサイエンティストで、ニューヨーク・タイムズにも寄稿する著者が、グーグルの検索データを分析して米国の隠れた人種差別を暴くのを皮切りに、男女の性的な悩みや願望から、名門校入学の効果、借金を返す人と踏み倒す人の差まで、豊富な事例で人間と社会の真実を明かしていく。

ビッグデータとは何なのか、どこにあるのか、それで何ができるのかをわかりやすく解説する一方、データ分析にまつわる罠、乱用の危険や倫理的問題にも触れる。

著者がメインに取り組むグーグル検索分析を中心に、実際の事例から大規模なデータを活用した調査がわかりやすく『かなり煽り気味なタイトルとは裏腹に真摯に』解説された一冊。

ビッグデータの4つの力

第2章でビッグデータが持つ4つの力を解説している。昨今ビッグデータという言葉を頻繁に聞くようになったのだがビッグデータを使うとどんな利点があるのかを4つの力として説明している。

ビッグデータの第一の力

かつてひと昔前ならば推測するしかなかった領域を映し出す豊富なテーマをめぐる様々なデータが手に入るようになったこと。

探るべき新たな情報、それもこれまでは集めることができなかった情報を与えてくれること。

そして予想を仕事とするならば勘所は予想のためには何が有用なのかであり、それはなぜなのかではない。

人間の性衝動などを理解させてくれる進歩をもたらすような新種のデータをもたらしてくれたことがビッグデータの第一の力。

ビッグデータの第二の力

ビッグデータのおかげで、欲望と行動の言行不一致が明らかになる。ビッグデータの第二の力は、正直なデータをもたらしてくれること。

第4章で『人の言葉を信じるな、行動を信じろ』という言葉があり頷かされる。

ビッグデータの第三の力

データは膨大な規模で手に入るので、ごく一部の人口集団についても有意義な分析ができる。

例えば、きゅうりの夢をみる人と、トマトの夢を見る人を比較することが可能。小さな部分集合に絞り込めるのがビッグデータの第三の力。

非常にビッグでリッチなデータがあれば十分に折り込みが可能になり、普遍性を欠く個別の例にも対応ができる。

ビッグデータの第四の力

手軽に比較対象実験ができるため、単なる相関関係ではなく因果関係を検証することができる。こういった試験はビジネスの世界だけではなく社会科学者にとっても有用なツールである。

ビッグデータの時代ではネットにつながってさえいれば様々な因果関係試験を容易に実施できることがビッグデータの第四の力。

自然実験を賢く読み解けば、世の中が生み出すデータを賢く理解でき、本当に大切なことと、そうでないことがわかる。

何がデータになるのか

数々の例を読んでいると何が有用なデータになるのか分からない、むしろ着眼点があれば全てが有用なデータになりうるということに興味を持った。

本書内でも,

『体系だった、整然としたサーベイの時代は終わった。この新時代では、私たちが暮らしを通じて生み出す厄介な傷跡が主要な情報源になる』

『何をデータとするかの新発想には、学者と起業家の別を問わず大きな価値があるのだ。データサイエンティストたるもの、伝統的な狭いデータ観に閉じこもっていてはならない。全てがデータなのだ』

とデータ分析そのものを楽しんでいる著者の様子が伝わってくる。

できること、できないこと、やってはいけないこと

データ分析の素晴らしさばかりを説いているだけではないのが本書のいいところである。
ビッグデータは『あくまでも補完的なものだ』とした上で、人間的な判断力はもちろん、アンケートなどの小規模なサーベイも組み合わせることが重要だと書かれている。
Facebookのような超ビッグデータ大企業でも、大量のデータだけでなく、数百人規模の小さなアンケートを行いフィードバックしている。

また、ビッグデータの力はあまりにも大きく、時には空恐ろしくなるほどで時に倫理的な問題を引き起こすともある。
融資の際のアンケート記入による言葉の分析(借金を踏み倒す人、きちんと返す人)の傾向、カジノなどのギャンブル施設での客の痛点の分析(これ以上負ける額が大きくなったらカジノから足が遠のく)など、いきすぎたデータによる選別が進む事により客側が不利益を被る可能性は拭えない。

まとめ

データという真実から学び前向きに使っていくという姿勢があればデータ分析は心強い武器になると書かれている。
『これは私のお気に入りの研究だ』といろんな場面で出てくる一言に、純粋に好きでやってますという感じが出ていてついつい引き込まれる。
下ネタから、政治系のネタまで豊富な事例で、相当おもしろく遊び心のある一冊だった。超おすすめ!!

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